「花映塚と戦略」アシヌー氏へのインタビュー:前編

花映塚と戦略」というテーマでインタビューを行いました。

「戦略」とは、このゲームにおいて、「○○して勝つ」と言うときの○○に入るもっとも包括的なものです。あらゆる戦術やテクニックの良し悪しを判断するための基準となるための考え方であります。実例としてはアル花ディアのpp.16-17に書いてあるようなことです。

 

大テーマは戦略ですが、私の関心によって話の方向があっちへいったりこっちへいったりしています。あまり構成的ではないですが、いちプレイヤーの考えをまとまった形で提示することに意義があるかと思い、書き起こしています。

編集は読みやすくするための最低限のものに抑え、話の順序などには手を付けていません。

 

 登場人物

めどつ:インタビュアー。2009年からニコ生で花映塚を始めた勢力の一端。最近は専らTwitterで対戦募集してます。ご意見ご批判はこちらの方へお願いします→@medotsu_

 

アシヌー:2007年来のミスティア魔理沙使いプレイヤー。ミスティアに強いキャラ愛を持ち、同キャラ戦や対てゐで10分試合を連発する粘り強さが持ち味。2011年「東方紅楼夢7合わせ花映塚オフ大会」で準優勝の実績を持つ。コミュニティ:http://com.nicovideo.jp/community/co113421Twitter@azyyyyyyyyy

 

戦略について

めどつ:今日はよろしくお願いします。早速ですが、大づかみに戦略として何を考えていらっしゃいますか?どうやって勝とうとしているのでしょう?

 

アシヌー:伊達に年数やっていないとはいえ、うまく整理できているかというと微妙ですが…。

 

めどつ:例えばウンババさんは戦略を攻撃型と防御型に分けて考えているようです。自分が落ちる前に相手を落とすか、相手が落ちるまで自分が落ちないかということです。

 

アシヌー:ちなみにウンババさんは自分をどちらだと言ってるんですか?

 

めどつ:サイトやアル花では自分がどうだとは書いてなかったと思います。ただし基本は防御型で、防御がしっかりできない人が攻撃型でやろうとするのはよくないとは書いていましたね。

 

アシヌー:すごくごもっともですね(笑)。私がどちらかといいますと、昔は防御型でしたね。

 

めどつ:するとある時期に変わったと。

 

アシヌー:そうですね、4、5年くらい前に自分のスタイルが変わりました。

自分は魔理沙を使うんですけど、レイマリが全然勝てない時期があったんですよ。その時まで自分は防御しか考えてなくて、いかに耐えるか、いかに長い時間を堪えるかという視点で最初からやってきました。で、このつまずいた時期に方向転換がありました。相手を落とすためにどうするか、ボスのなすりつけというんでしょうか。自分ができるだけボスを抱えない、これは結局のところ防御的な意味もあるわけですが。

 

めどつ:ボスリバースは防御でもあり攻撃でもありますからね。

 

アシヌー:それまではできるだけ避けないことが一番でした。C2がある限りフルに使って、リスクをヘッジするというか。そこを変えて、ある程度のリスクを負ってリターンを得る、そういうボスリバをすることです。ちょっとしたリスクを冒してリターンを取りに行く。そういうスタイルでしばらくやっていたら、いつの間にか自分の避け力がめちゃくちゃ上がっていたんですよ。

ずっとチキンでゲージがなくなるまでC2を撃って、なくなったらまみれてという動きから、避けられそうであれば避けに行くというのを意識的にやることで、結果的に気合力がぐんと伸びました。それからですね、自分が攻撃型になったのは。

 

めどつ:するといまも攻撃型の考え方で動いているんですか?

 

アシヌー:うーん、どうなんだろうなぁ。私の中で防御型っていうと、例えば魔理沙ならさあ開花しよう、一緒に開花しようというスタイルで、それはそれで確かに楽しいんだけど、点を切れるときは切りにいってエキサイティングにやりたいというか。そういうことを考えるあたりは攻撃型もちょっと入っているかなとは思います。割合の問題ですかね、防御7攻撃3…。もうちょっと高いかな、防御9攻撃1くらい。

 

 魔理沙の立ち回りについて

めどつ:azyさんのリプレイを少し見てきたんですけど、魔理沙を使うときにあまり左右に動かないイメージがありますね。

 

アシヌー:それはよく言われますね。むしろ私が他の方のを見て、みんなよく動くなと思いますね。少なくともレイマリの話ですけど。

 

めどつ:それから、低速をほとんど使わないように見受けられます。

 

アシヌー:そうですね、ゲージを回そうとするあまり低速はほとんど使わないような動きになっているかもしれません。要所要所で使うだけです。

 

めどつ:私のプレイと比べて、C1の使い方が上品だなと感じました。

 

アシヌー:ありがとうございます。よくC2をバンバン撃っていくような方はいて、それはそれで点は繋がるし、ゲージも溜まるしでいいんですけど、そればっかりじゃなくて、ショットを使えるところはショットで、C1溜めるべきところはC1でというように要所で判断してやっています。妖夢がC1ばかりで弾幕を切り抜けられるわけではないのと同じですね。

 

めどつ:魔理沙使いとおっしゃいましたが、普段は霊夢も結構使ってますよね?

 

アシヌー:そうですね、数年前から霊夢側も触り始めましたが、思った以上に面白くてよく使いますね。どっちを使うかで全然違うゲームですけど、お互いに開花耐性があってよく均衡のとれたいい組み合わせだと思います。神主がなにを考えていたかはわかりませんが、奇しくも主人公キャラが2強となっているのは面白いですね。

 

 試合中の視点取り、意識の向けどころについて

めどつ:試合中になにを意識しているか、どこを見ているかを教えて頂けますか?

 

アシヌー:それはキャラによるし、その時々で違うというのが一番語弊のない答えなのかもしれないですけど…。

うーん、例えば相手のゲージについてはほぼ見ないですね。100%近く見ない。相手のフィールドをそもそも見ないですね。もし見るとしたら咲夜を使われたときには、たまに相手のスペルポイントを気にすることはあります。というのはうまいプレイヤーは、咲夜の50万C3にC2を重ねてくるじゃないですか。これの誘導をミスると詰んでしまうので、これだけは警戒します。そろそろ50万来るかな、ちらっちらっていう感じで。ただそれだけです、それ以外では見ることはまずありません。

 

めどつ:相手のスペルポイントも見ないんですね。

 

アシヌー:咲夜以外は見ないです。

 

めどつ:自分のほうは見ますよね?

 

アシヌー:自分のほうはもちろん見ます。感覚でいまどのくらいだってわかればいいんですけど、その精度が自分もまだ100%ではないので、普通に左上を見ますね。

 

めどつ:結構長くやっていると、その感覚が研ぎ澄まされていくというか、ある程度分かることってありますよね?まだこのタイミングだと点切れてないなとか、いまC2撃てば一気に回るなとか。

 

アシヌー:そう思うじゃないですか(笑)。それが相手によって回らなかったりするんですよ。それが花映塚の深いところで…。自分にとって相性のよい相手というか、一緒にやるとタイムが伸びるような相手とやるときは、狙ったときに50万が飛んで、予測したときにC2が飛んできて、それを狙って消せるみたいことがあります。波長が合っているんですね。でもそれをうまいこと崩してくる相手だと、ここでC2を撃てばゲージが溜まるだろうというところでなぜか溜まらなかったりということが頻発するんです。そういう方との対戦回数が少なくてまだ攻略しきれてないところがあるんですけど。

 

めどつ:このゲームは因果関係を特定するのが難しいですよね。

 

アシヌー:狙ったとおりにことを運ぶのがすごく難しいと言えますね。

 

めどつ:なのでしっかりと仮説を立てて検証をしていかないと、確かな攻略は進んでいかないという意識があります。

 

アシヌー:そのブラックボックスを開こうとして、いまこうやってインタビューされているというわけですね(笑)。

 

 おくりものシステムについて

めどつ:おくりものシステムのコントロールを考えたりはされていますか?白弾の量は周期的であることはよく分かっていることですが、それを調整することについてはどうでしょう。さっきおっしゃっていたなぜかゲージが回らないということは、相手側がおくりものをコントロールしているからである可能性がありますよね。

 

アシヌー:そういう話なら、1年位前に印象的なことがありまして。

そにつくさんという妖夢に、妖夢同キャラでこてんぱんにやられたんです。相手をしていてすごくやりづらさを感じていたんですが、送られてきたボスがなかなか帰ってくれないということに気づきました。自陣にボスが来た瞬間に、妖精や幽霊の湧きが悪くなっていんじゃないかというか、全然連爆ができないなと感じることがよくあったんですよ。なんでかなとリプレイを見たところ、ボスを送った後に、たぶん意図的に弾消しを控えて動いているようでした。できるだけ自分から白弾を送らないで、相手のポイントを回させないようにしてるんじゃないかと思って、逆に自分がそれを取り入れてみたんですよ。そうしたらボスの押し付け率がわりかし増えたように感じました。いやらしいプレイングですね。これは妖夢妖夢の話ですが、こういうコントロールの仕方はあると思いますね。強いプレイヤー相手にどこまで通用するのかはわかりませんが。

 

めどつ:ぜひともこれはそにつくさんにも意図を聞いてみたいですね(笑)。

 

 使用キャラクター、リリカでのボス撃破について

めどつ:ここまでレイマリの話と…、レイマリの話しかしてなかったですね。他のキャラについてはどうでしょう?

 

アシヌー:自分は昔から単キャラ使いだったので、あまり話せることは少ないかもしれません(笑)。単キャラでやっていると遊べる組み合わせが限られてくるので、それなら色々使えるほうがいいなと思ってやってきました。最近も色んなキャラを色んな人に当てますよ。ただリリカはよく分からないです、全然分からない。

 

めどつ:私も分かりませんが、リリカでボス撃破とかはやられたりしますか?

 

アシヌー:全然しないです。私は基本的には守りの型なのでリリーが来たらからといって倒そうとしたりとか、ボスを撃破しようとしたりとかはしないですね。ただリリカ使いの方はよくやるようですね。

 

めどつ:そうですね、方法さえ分かっていれば割りと簡単なのでやる方はいらっしゃいますね。その一方で変なことをして被弾するくらいなら最初からないものとして考えるのもありますね。

 

アシヌー:その日の調子次第なところもありますね。調子がいい日ならかなり攻めっけ強くやることもあります。そういう日はそうそうないですが。

 

(後編につづく)