「花映塚と戦略」アシヌー氏へのインタビュー:後編

この記事は前編の続きです。

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 勝敗について、花映塚はなにをするゲームなのか

めどつ:このゲームの普段の対戦って一回の勝ち負けってかなりどうでもいいじゃないですか。いま一回勝ったからどうってことないし、負けたからどうってこともない。1クレにお金が掛かるわけでもなければ、賞金や栄誉があるわけでもない。なにか「最後の審判」のような、いつかの一戦に勝つためにやっている、そういう明確な目的があるわけでもない。このへん人それぞれ考えることがあるかもしれません。ただ、目先の勝敗に意味が無いのに、一体なんのために安定的な動きを求めようとしているのか、という問いはあると思います。

 

アシヌー:勝ち負けの話は、その通りだと思います。勝っても嬉しくないことはあるし、負けても充実感のある試合もありますし。もちろん勝ちに行くことは必要ですけど、大事なのは内容なんでしょうね。そういう思いをみんなが持っていてくれるといいなあという…。

私のなかで花映塚っていうのは、ちょっと精神論になってしまうんですけど、ふたりでいい試合を作る協力型のゲームというふうに捉えています。そう考えられるとお互いたぶん楽しいですし。もちろんこれは自分の思っていることであって、相手に強要するものではないんですけどね。

 

めどつ:協力とまでは私は考えたことがなかったですね。でもいいゲームができれば確かに両者ともいい気持ちになれますね。

 

アシヌー:変な被弾をしたら相手に申し訳ないって思っちゃうんですよね。

 

めどつ:ああー。

 

アシヌー:その後相手が釣られて被弾したら、ああ申し訳ないことをしちゃったなぁっていう。

 

めどつ:それは釣られて被弾したほうが悪いのでは(笑)。

 

アシヌー:いやいやいや釣られるような被弾をさせるほうが悪いんですよ(笑)。

 

めどつ:片方が被弾したときに、白弾の行き来が不安定になってゲージが回りづらくなった結果被弾するようなことはあると思います。一方で、相手の被弾に反応して精神的に動揺したり油断したりしての被弾もあるでしょう。前者であればそれは自分の責任ではないかなと思うんですけど…。

 

アシヌー:どっちも含めて自分の責任と考えてます。被弾時に発生するそういう心理的な駆け引きもある意味おもしろいのかもしれないですが、申し訳なさがありますね。

 

めどつ:単に申し訳なさということなら昔は私も感じてましたね。だから格上の方に挑戦するのは止めておこう、どうせ相手を失望させるような被弾をしてしまってゲームを楽しめなくなるから。それなら最初からやらなければいいやみたいな。

ただし、いまはそういうことはあまりないですね。おそらくですが、自分の中で仮説としての戦略が固まっていて、自分のひとつひとつの動きに説明ができるから、たとえ被弾しても弁明できるし、当たったことはもちろん自分が悪いけど、それ以上でもそれ以下でもないと思えるようになったのかもしれません。

 

アシヌー:すみませんなんか精神論ぽい話になって、あまり建設的ではない方向に持っていってしまいましたかね。

 

めどつ:そうでもないですよ。精神的なことだってゲーム展開に反映することはあるし。もしもゲームを満足に遊ぶためにある程度精神的に陶冶されていなければならないのであれば、それは必要なことだと思いますよ。

 

アシヌー:ある程度ゲームに習熟したプレイヤー同士の対戦だと、心のぶつかり合いみたいなところがあるんですよ。それがまた楽しんですよね、花映塚は心を積む戦いというような。先にくじけたほうが負けみたいな、弱キャラ同士なんか特に。

 

 ミスティア、キャラ選択、コミュニティについて

めどつ:弱キャラといえば、普段は強キャラ同士でのマッチングが多いように感じます。一方でアシヌーさんはミスティアを持ちキャラとして長くやっていらっしゃったのですが、ミスティや弱キャラについてはどうですか?

 

アシヌー:あれはガッツの戦いですね。気合の尽きたほうが負けです。

ただある程度のレベルの方になると長引くだけって思われることが多いでしょうね。それが醍醐味ではあるんですけどね、根気の戦いというか。とはいってもてゐが絡むと、なんだかんだいっても5分くらいで決着つくことが多いですよね。トッププレイヤーでもそのくらいですよね。

 

めどつ:ミスティア魔理沙以外だと?

 

アシヌー:最近は霊夢もよくやります。このくらいですかね。強キャラが多いです。それ以下のキャラをやるガッツがないというか(笑)。

 

めどつ:ニコ生が対戦の場だったときは、強キャラしかやらないということはなくて、あらゆるキャラを使うのが普通だったと記憶しています。ただ2016年現在でも遊んでいるようなプレイヤーは少なからずどんどんうまくなっていくので、弱中に冗長なものを感じてしまう方も多いのかなと思います。

 

アシヌー:まさにその通りだと思います。ニコ生は幅広い方がいらっしゃったので、それだけ幅広いキャラが出てきていましたね。それがTwitter花映塚ネット対戦板でやるような強者で、相手の顔も割れてるしっていうような状況だと「レイマリやるよね、映姫小町やるよね」という雰囲気になってしまいますよね。私はとりあえず初めて対戦する相手にはミスティアを当てるようにしてます。それでたまに10分試合を叩き込んでくるような方もいてすごく怖いんですけど(笑)。

 

めどつ:私はTwitterでしか対戦してませんが、相手がやっぱり強キャラという区分で当ててきたら強を当てますね。それは慣習としてそうなのでそうしているということです。ただきっとどの組み合わせを選んでも面白くなる要素はあって、キャラランクが浸透したことでその楽しさの可能性が消えてしまっているということは起こっていると思います。キャラランクは誰か、あるいはある集団の攻略の結果であって、それ自体そういう意図を持っていたわけではないでしょう。それが慣習になるにつれて意味合いが変わってしまった。

 

アシヌー:捉えようによってはエキサイティングな組み合わせが埋もれてしまっていると。

 

めどつ:そういうのはもったいない気がしますよね。実際には、Twitterといってもできるコミュニケーションなんて限られていますから、まずは慣習に則ってやる必要があるのかなとは思いますが。そもそも対戦があまり成立してませんからね、現在。

 

アシヌー:人口の減少と高齢化が起こってますからね。現実的に使える時間も限られてきますからね。

 

めどつ:実際に遊べる時間が少ないということもありますが、本質的には能力の問題があるのかなと思います。

 

アシヌー:それはレベル差があるからというような?

 

めどつ:それもありますけど…。花映塚ってひとつの行動に色んな意味があって、色んな因果が絡み合っているゲームです。原因と結果の結びつきを特定し辛いとは先にもいいましたが、それが分からないと、次にもう一回やろうという気になれないんじゃないでしょうか。アクションゲームならどこかで穴に落ちたのなら、よし次はここの穴に気をつけてやろうと攻略できるわけですけど、いま自分が被弾したのがなにによるのかはそれほどはよく特定できません。ですので一回一回のプレイに考えをもって望まないと、ガチャを引いているのと対して変わらなくなってしまうと思います。ただ一回ゲームを始めて、がちゃがちゃってやったら勝ちか負けが出力されるというように。花映塚をその繰り返しでしかないと捉えてしまうと、おそらく長く遊ぶことはできないのではないでしょうか。あまりこういうことを声高に主張しすぎると、貴族主義的な方向に向かってしまって、よりいっそう誰もこのゲームを遊ばなくなってしまうということもありえます。ただこのゲームを長く遊び続けることはやっぱり難しいということはあると思います。

 

アシヌー:ご新規さんの引き入れの話ですか?

 

めどつ:そういう話でもありますね。

 

アシヌー:ごもっともな部分はあると思います。どうやったらうまくなるのかが分かりにくいゲームで、それを手探りでやらなくちゃいけない。いまやっているような人はそういうことができているのだろうし、それを明文化してどうすればステップアップできるのかを明示できれば、ご新規さんの引き入れもいくぶん楽になるかとは思うのですが。いかんせん要素が多すぎて、これといった攻略を提示できないのは口惜しいというか。色んな要素がありすぎて、結局花映塚運ゲーと言う人もいて、そうじゃないんだけどなぁと思うんですけどね。

 

 霊夢同キャラについて

めどつ:運ゲーという言葉を頂いたので、ちょっと流れを変えまして。このゲームで運ゲーという言葉に一番結びついている組み合わせって霊夢同キャラだと思うんですが、この見解についてはどう思いますか?

 

アシヌー:運ゲーの要素は大いにあると思います。そりゃあマリマリに比べれば運要素が大きいと思います。運ゲーだという人はたぶんこういうことを言っていると思うんですが、霊夢の救霊があの範囲でしか出ないのに、開花など弾幕が激しくなってきたときに、C2とかのすごいスピードの弾がうまく手前で消えてくれるかどうか、そこをある程度運に委ねなければならない。そういう意味では確かに運次第ではあると思います。

 

めどつ:語り口から察するに、運の要素一辺倒に語られることに違和感があるようですね。

 

アシヌー:運半分、実力半分というところじゃないでしょうか。

 

めどつ:うあ、50%ですか。

 

アシヌー:いや50%かは分からないですけど。ランダムに弾が発生する以上運要素は除けないけど、ゼロに近づけていくのは可能です。結局は1ラウンドでは3被弾で決着が付いてしまうので運の部分が見られがちですが、それを100回やってみれば、運ゲーと思って割り切ってやってるプレイヤーと、運ゲーだけどもリスクを減らしてやっていくことができると思っていうプレイヤーとでは明らかに勝率の差が出てくると思うんですよね。長いスパンで見れば。運ゲーじゃないよと言いたいところだけど、そういう部分もあるよねというふわふわした回答です(笑)。

 

 小町映姫について

めどつ:小町映姫の組み合わせについてはどうでしょう?

 

アシヌー:これは気合いでしょう、半分冗談ですが(笑)。あまりこの組み合わせをやりこんでいるわけではないのですが、レイマリに比べればガチ避け要素が濃厚なのかなと思ってます。素の避け力が高い人が楽しいのかなーという。

 

 どうしていま花映塚を遊ぶのか

めどつ:最後の質問として、どうしていまでも花映塚を遊んでいらっしゃるんでしょう。そのモチベーションを教えて頂けますか?

 

アシヌー:そりゃあもう決まってるじゃないですか。やってくれる人がいるからですよ。めっちゃいいこといいましたね(笑)。やってくれる人がいる限り自分もやりますよ、ひとりじゃできないですからね花映塚は。一緒に遊んでくれる人がいることが、一番大事なことだと思います。

 

めどつ:ありがとうございました。