東方花映塚オンライン大会のレギュレーションを考える(2)大会の形式を決める

(2)では大会の形式について考えてみます。

 

レギュレーションを明確化するモチベーション

その前に、どうして大会のレギュレーションを明確にしたいのかはっきりさせておきます。主催と参加者の負担を減らしたいということです。

主催は告知、出欠確認、トーナメント作成、進行、トラブル対応、配信、実況などたくさんのことをしなくてはなりません。特に大会の進行中は情報が主催に集中します。勝敗報告、トーナメントの更新、組み合わせの発表、観戦と実況……。そのなかでトラブルも発生するわけで、それぞれの状況を聞いて判断・指示するのはたいへんです。ミスや不手際も生じるでしょう。

最終的にはもちろん主催の裁量でとなるわけですが、それをいちいち振るわなくていいようにレギュレーションに書いてしまう。レギュレーションでどうしようにもないときのために主催の裁量があると考えたいわけです。

 

大会の形式

さて形式ですが、主なものとしてシングルエリミネーションダブルエリミネーションスイスドローラウンドロビンがあります。主催の目的、参加人数、どれくらい時間を掛けるかによって使い分けるとよいでしょう。

ここでは参加人数と時間に注目してみようと思います。

オンライン大会の大きな特徴は、組み合わせが決定している限りどんどん対戦を進行できることです。オフラインであれば機材の制限で同時に対戦できる数は限られます。しかしオンラインにその制限はありません。16人のシングルエリミを考えると、1回戦は全8試合ありますがこれはすべて同時に進行できるのです。この同時に進行できる対戦のまとまりをいま「1ラウンド」と呼びましょう。

「1ラウンド」は、プレイヤーが組み合わせを確認し、対戦し、結果報告するまでですから、15分を見ておきましょう。大会形式ごとに必要なラウンド数は(大まかに)算出できるので、これで大会に掛かる時間を計算してみます。

ちなみにふつう大人数でラウンドロビンはしないのでここでは考えません。また、シングルエリミのラウンド数はスイスドローで勝者を決めるために必要な最小ラウンド数と同じです。


5~8人の場合
ダブルエリミ:6~7ラウンド(90分~105分)*1*2
スイス:3ラウンド(45分)
8~16人の場合  
ダブルエリミ:7~8ラウンド(105分~120分)
スイス:4ラウンド (60分)
17~32人の場合  
ダブルエリミ:8~9ラウンド(120分~135分)  
スイス:5ラウンド(75分)

 

スイスドロータイブレーク

スイスドローの場合、勝利数が同じ場合にどう順位をつけるかを決める必要があります。例えばChallongeではこのようなタイブレークを設定することができます。

ここで考えておきたいのは、これまでの花映塚の大会で考慮していたのは勝ったか負けたかということだけであって、何セット*3取ったかではなかったということです。上に挙げたタイブレークのほとんどは得点数やセット数によるもので、ゲームの勝敗だけを記録するのであれば、そこに差を付けることが難しくなります。

単に一人の勝者を決めるだけなら問題はありません。上に挙げたラウンド数はまさに勝者を一人決めるための必要ラウンド数です。ラウンドごとにプレイヤーを勝者と敗者の半々に分けてマッチングする、これを全勝者が出るまで繰り返すことになります。しかしこのやり方だと1敗した時点でそのプレイヤーに優勝の目はなくなるわけですから、シングルエリミと変わりありません。

そこで、運悪く1敗しても、なんなら2敗しても優勝の可能性を残すために、ラウンド数を余分に取るわけです。しかしそうすると今度は勝利数が最も多いプレイヤーが複数出てくる可能性があります。そのときに彼らの間にどうやって順位を付けましょう。例えば3位タイが複数人いるのは許せるとしても、優勝タイが複数人いるのは不自然ではないでしょうか。*4

Challongeに用意されているタイブレークのなかでは唯一、「同順位の相手との対戦での勝利数」で比べることはできますが、同順位の相手と対戦していない場合があり、そのときは順位をつけることができません。

それならばとセット数までカウントするという手段がありますが少々面倒が増えます。加えて、「ランク落とし」をすることが不利になります。「ランク落とし」とは高ランクで長時間戦うことが厳しい組み合わせに勝つための戦術です。1セット目を取って2セット目は即座に被弾して負けることでランクを落とす、そして下がったランクでスタートする3セット目に勝負をかけます。つまり自分が2セット取るために相手に1セットを献上することになります。勝敗だけを見るレギュレーションであれば同じことをしても自分が1で相手は0ですから、セット数をカウントする場合、ランク落としをすることが相手を利してしまうことになります。

 

このあたりの事情は押さえておくといいと思います。

*1:特にダブルエリミの場合、「ラウンド」という言葉遣いは不自然かもしれません。組み合わせが決定し次第即座に対戦ができ、一斉に進行する必要はないわけですから。

ここでやっているのは対戦全体が一様に進むとして、何ラウンド必要かという計算です。例えば第一ラウンドはウィナーズの1回戦、第二ラウンドはウィナーズの2回戦とルーザーズの1回戦、第三ラウンドはウィナーズの3回戦とルーザーズの2回戦、となります。もちろん個々の対戦時間は違うのでこんなにうまくは進みませんが、大まかに時間を見積もるためにこのように考えてみます。

*2:ダブルエリミは全員がルーザーズに落ちた場合に限り最後の1ラウンドが必要になります。1敗もしないプレイヤーがいる場合短いほうで終わります、とりもなおさずその人が優勝です。

*3:「セット」は試合時間00:00からどちらかのプレイヤーが5ライフを失うまで(と定義します)です。先に2セットを取ったプレイヤーが勝者です。

……これ、もう少しスマートに書けないですかね。

*4:不自然だけど別にいいかもしれない気もします。むしろどうでもいいことな気がしてきました。