東方花映塚オンライン大会のレギュレーションを考える(3)トラブルに対応する

(3)では実際に対戦する段で生じる問題を見ていきます。 

 

・試合時間に上限がないために、ある試合が長引き全体の進行に影響を及ぼしてしまう。

 yetさんが対人戦での1ラウンドあたりの最長対戦時間を記録してくれています。まずは使用者の多いキャラクター、つまり霊夢魔理沙妖夢・小町・映姫の組み合わせですが、確かに1ラウンドで5分を超えるような対戦はあります。とはいえ記事(2)で書いたように、1試合を15分と見ておいてだいたいは問題ないと思います。大会の一発勝負で5分超えを連発することは、これまであまりなかったと記憶しています。

チルノ同キャラの111分や優曇華チルノの92分は目を引きますがこれは両者が最長記録を作ろうとしてプレイしているためで、ふつうここまで行われることはありません。しかしチルノや優曇華が絡むと全体的に試合時間は延びがちです。

長引きがちなキャラクターの使用をどのように考えるのかは問題です。ゲームで使えるようになっている以上キャラクター選択は自由であるべきだという考え方と、あるキャラクターが関わる対戦が長引いて大会全体に影響を及ぼすのは良くないという考え方が衝突しています。

キャラクターを自由に選べるようにするならばスケジュールが延びてしまう可能性を覚悟する必要があります。ただしオフライン大会とは異なり会場の使用時間といった制約があるわけではないので、予定より延びてしまうことは大きな問題にはならないかもしれません。参加者は申し出ることでいつでもリタイアできるようにしておけばよいでしょう。

キャラクターセレクトの自由を認めつつも、厳格に大会の時間を守りたいのであれば1試合あたりの時間を定めて、そこまでに決着しなかったら判定で勝敗を決めることもできます。例えば、対戦開始からn分以内に決着しなかった場合ポーズを掛けて対戦を終了する、そこまでに残っているライフが多いほうが勝ち(1試合につきプレイヤーは陰陽玉15個分のライフを持っていると考える)、などと定めることはできます。しかし対戦に集中しているプレイヤーに、開始から何分経ったかを意識させるのは問題です。プレイヤーに、目の前の対戦よりも大会の進行に意識を割かせてしまうとしたら、それは悪いレギュレーションかもしれません。

あるいはシンプルに、使用キャラクターに制限を掛けることもできます。

どれを選ぶかは大会を主催する者の判断です。

 

・クラ専同士がマッチングしてしまう。

クラ専はhamachi(仮想VPNを構築するツール)の導入を必須にしておくとよいでしょう。hamachiを介することでクラ専同士でも対戦できます。セキュリティを考えて、主催とクラ専以外はhamachiの部屋に入らないようにアナウンスしておくと良いでしょう(あるいは部屋への入場を主催の承認制にしておく)。

 

・誤ってポーズをかけてしまう。

オンラインである以上、「せーの」の掛け声でポーズを解除するのは困難です。

そこでペナルティとして、ポーズをかけてしまった側が1セット落としたことにします。その時点で対戦に決着が付いたら(どちらかが2セットを取っていたら)終了、まだ決着していない場合は再度接続して決着が付くまで対戦します。

 

・対戦中にアプリケーションが強制終了してしまう。

ポーズの場合と異なり、どちらに瑕疵があるのか分からないのが問題です。強制終了した時点での取得セット数を引き継いで、再度対戦するのが良いでしょう。 

 

・対戦中に同期ずれが起こってしまう。

同期ずれを回避したいのであれば全員がadonis rev.5を使うことで解決します。このバージョンでは同期ずれは起こりません。しかし大きな問題は、adonis rev.5は観戦機能が実装されていないことです。観戦できないなら配信する意義は薄く、大会の盛り上がりに欠けるでしょう。準決勝、決勝など配信で同時に観戦しながらわいわいとやりたいところです。

するとrev.4を使うことになります。こちらは同期ずれが起こる可能性はありますが観戦が可能です。参加者にはadonis.iniから同期ずれ音を設定してもらい、ずれに気づけるようにしてもらいましょう。

ただし厄介なことに、ずれ音が鳴ったからといって必ずしも対戦がずれているとは限らないのです。ずれ音は鳴ったけどつつがなく対戦終了した、ということはままあります。

そこで、ずれ音が鳴ってもとりあえず対戦は続けてもらい、対戦が終わってから大会の連絡用チャットルーム(discordなど)で実際にずれていたかどうかプレイヤー同士で確認してもらいます。そこに齟齬がある場合対戦をやり直すのが良いでしょう。このとき例えば1セット目はお互いに同じ結果になっており2セット目が食い違っているということなら、1セット目の勝敗を有効として、それを引き継いで再度対戦するということにします。

回線の相性で対戦を完遂する前にどうしてもずれてしまうこともあります。この場合に限り観戦をあきらめrev.5で対戦してもらうというのがひとつの手です。参加者には事前にrev.4もrev.5も導入してもらう必要があります。あるいは(例えば)3回接続しても対戦を完遂できなかったら1P側を勝者とする、という風に規定することもできます。しかしこちらは多少納得感に欠けるかもしれません。

rev.5かrev.4か、どちらを採用するかは主催の判断です。

 

・開始の時間になっても対戦相手が現れない。

対戦開始のアナウンスをしてからn分以内に相手からの反応がない場合不戦勝にする、などと規定することができます。

大会管理サイトのチェックイン機能を使うのも手です。大会開始前にサイトへのチェックインを必須とすることで、対戦する準備ができていることを相互に確認できます。

 

大会で起こるトラブルはだいたいこのようなところです。これ以外の予期せぬトラブルは主催がその場で判断していくことになります。最終的な決定権は主催にあるということもレギュレーションに明記しておきましょう。

 

ということで次回は実際にレギュレーションを書いてみます。