ミスミスからはじめる東方花映塚

この記事は「東方花映塚」プレイヤーのための実践的なガイドです。
ルールは知っているけど、なにをしていいのか分からない、どうすれば勝てるのか分からないというプレイヤーに向けて書きました。
今回はミスティア同キャラ戦を題材に解説します。ミスティア花映塚の基礎を身につけるには絶好のキャラクターです。記事を参考にまずはCPU戦で、慣れたら対人戦で実践してみてください。
いろいろと書いていますが、小難しそうなところは読み飛ばしていいのでてきとうに見出しを拾い読みして実際にプレイしてみてください。それだけでも今までのプレイより長く生きられるはずです。


目次

 

参考動画

文字だけだと分かりづらいので、参考にCPU戦の動画を上げました。


東方花映塚 ミスティア(めど) vs ミスティア(LunaCPU) 1R 7:30

 

用語集、凡例

本文中によく出てくる単語について、どれのことか分からなくなったら見てください。

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①コンボヒット数

②スペルポイント

③チャージゲージ

④コンボゲージ

チャージゲージを消費する攻撃であるカードアタックは、その種類によってC1~4と表記します。例えばゲージを1本消費するカードアタックは「C2」です。

単に「ゲージ」と表記するときはチャージゲージ(③)を指します。

「点数」というときはスペルポイントの点数を指します。スコアではありません。

チャージタイプはslowで解説します。

難易度はLunaticを想定しています。


ゲームについて

東方花映塚は複雑なゲームで、ルールを理解したところで結局なにをすればいいのか分かりづらいところがあります。もしかしたらプレイしている当人も、なにをしているのかよく分からないかもしれません。「弾幕に当たらないように避け続けるゲーム」というのではあまりに内容に乏しいので、もう少し踏み込んで説明しましょう。

「ふつうなら避けられないほどの厳しい弾幕が降ってくるので、妖精や幽霊を利用して白弾を消すことで避けていく。

この、妖精や幽霊の撃破や白弾消しは、同時にチャージゲージを溜めることでもある。ほんとうに避けられない弾幕が来たら、こうして溜めたゲージを使って凌ぐ。

特に、相手からボスアタックを送られると厳しい弾幕が連発してゲージが枯れてしまうので、ボスを相手に押し付ける。
効率よくゲージを運用することで、相手より先に死なないようにする。

花映塚はこういうゲームです。


基本的なこと

ゲームの内容を大まかに理解したところで、最初に心がけるべきことを5つ挙げます。これらを意識するだけでも相当生存時間は延びるはずです。

その前に前提として、この解説では「能動的に相手に弾幕を送る」というコンセプトをほとんど採用しません。自分の行動が相手に対してどのような影響を与えうるか、考えるのは難しいことです。相手がどうであれまずは自分が長く生きるためにはどういった立ち回りが必要か、この点に注目して解説していきます。

 

・チャージアタックはC2のみ使う。
C3やC4はゲージや弾消しにおいて非効率だからです。C3を一回撃つよりもC2を2回撃つほうが圧倒的に生存時間を延ばせます。
C2をどのように撃つかですが、これは他の東方作品の「ボム」と同じものと考えるとよいでしょう。身の危険を察したら撃つ、そしてゲージを抱えるのはご法度です。まずはライフ分だけゲージを撃ち切れるようになりましょう。

ただし花映塚では、C2を撃つためにショットボタンを押し込んでしばらくチャージする必要があります。特にミスティアはチャージ速度が遅く、C2を溜めるためには67F(約1.1秒)掛かります*1少し先の展開を予測して「ボム」が必要か判断しなくてはならないところは、花映塚の大きな特徴です。

 

・ショット連打はしない。

理由はふたつ。

(1)コンボヒット数が伸びないから。

コンボヒット数が多いほど、スペルポイントは増えやすくなります

ところで、コンボヒット数は「1発のショット」に起因する連爆や弾消しに対して増えていきます。連爆が繋がっている途中で別に撃ったショットがなにかを倒してしまった場合、せっかく伸びていたヒット数がリセットされてしまいます。なにも考えずに連打をしていると、別のショットによるヒット数のリセットが起こりがちです。
妖精列の先頭をショット一発で撃ち抜けば、あとはなにをしなくても連爆でかってにヒット数は伸びていきます。連爆が続いており身の危険を感じないときはショットボタンをむやみに押さないようにします。
ペルポイントを思い通りに調節できるとボスを抱えなくなり、被弾のリスクを減らせます。そのために、コンボを繋ぐことでスペルポイントを高速で回せるようになりましょう。

(2)弾消しの素材がなくなるから。
ショット連打をしていると、画面上部の妖精や幽霊が軒並み撃破されます。妖精や幽霊といった弾消し素材はいつでも十分に供給されているわけではありません。爆風を起こすタイミングを考えずに撃っていると、厳しい弾幕が来たときに弾消しができず、とても避けられないような弾幕が降ってきます。

まとめると、ショットは「少なく、的確に」です。
具体的にどのくらい連打してはいけないのかを知りたい方は参考動画を見てください。あまりショットを撃っていないことが分かります。

 

・吸霊(低速)ボタンを押しっぱなしにしない。
自陣に同時に出現する妖精列が少なくなるからです。
ほんらいは自陣に3列出てくるところが、吸霊を押しっぱなしにしていると1列までしか出なくなります*2。貴重なゲージ・弾消しソースである妖精の出現が少なくなるのは致命的です。

ある程度の間隔で吸霊ボタンを離すことを意識してください。具体的には、低速での細かな回避を要求されているのでなければ、1.5秒以上の押しっぱなしは避けましょう*3

 

・長く1ヵ所に立ち止まらない。
降ってくる白弾の1/3は、あいまいな自機狙いです。常にあなたは狙われています。いつでも誘導する意識で動いていきましょう。
立ち止まることがあるとしたらそれは弾幕の誘導の一環としてです。あとで書きますが、左右の動きに加えて上下も使えると安定感が増してきます。

 

・ボスアタックをショットで倒しに行かない。
ボスアタックが来たら、スペルポイントをためてボスリバースが鉄板行動です。他の作品よろしくショットを撃ち込んで撃破したくなりますが、それはかなり非効率です。
ボスの体力が1400に対して、ショット一回分の撃ち込みダメージは60です*4。爆風による与ダメージがここに重なってくるとはいえ、倒すには時間が掛かりすぎます。また撃破を狙うにしても、他の弾幕が降りしきるなかボスの直下に留まらなくてはならないというのはリスクが高すぎます。
そんなことをするよりは、スペルポイントを10万点まで溜めるほうがはるかに早く安全です。相手のボスに構うのではなくスペルポイントのほうに注意を向けましょう。


立ち回りについて

ここまで「あれはするな・これはするな」ばかりで、結局(積極的に)なにをすればいいのかと思われるかもしれません。
そこに答えるなら、「誘導しながら白弾を消してゲージ回収、危険な弾幕が来たらC2で切り返す、ボスアタックが来たらスペルポイントを回してボスリバース」です。

実際にキャラクターを動かしているとき、そのひとつひとつには(当人が意識しているかはともかく)「意味」があります。弾幕の誘導、ゲージ稼ぎ、スペルポイントの調整、それらの複合、というように。はじめは目の前の弾幕を捌くことで精いっぱいかもしれませんが、いま自分がなにをするフェーズにいるのかを把握するよう努めましょう。

以下、実際に使える動きを紹介します。


・横移動をしながら幽霊を活性化していく。
横に誘導しながら、同時に切り返しのための幽霊を準備します。横移動は「いまの弾幕を避けるため+次の弾幕を誘導するため」、吸霊は「安全な切り返しのため+ゲージ回収のため」で、これを同時に行います。
ミスティアはその移動速度の速さや、吸霊が自機上部の広い範囲に展開されることから、特にこの動きをしやすいキャラクターです。具体的には、吸霊範囲を画面の中部に突き刺すようなイメージで動きます。もちろん押しっぱなしはダメで、吸霊できるところでスポット的に押します。できるだけ活性化したいですが、その位置で活性化しても次の連爆でぜったいに倒せないと思う幽霊はスルーします。

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こういう幽霊をなぎはらうように吸霊できるといい

・C1は撃たない。
たくさん弾が出て強そうに見えますが、倒したくない妖精や幽霊をかってに倒してしまいます。ショットを連打しているのと変わりません
使うのは、C2を撃つか迷ってチャージをはじめたがやっぱり要らないというときに、C1の段階でボタンを離す場合。あるいはC1避け*5をせざるを得ない場合です。

 

点切りについて

ペルポイントを切るべきか繋げるべきかは状況次第ですが、重要なのはボスアタックを抱えないこと、その一点です。ボスが来たらなるべく早く返すことを目指しましょう。
自分のスペルポイントはいつでも(大まかにでいいので)把握しているのが望ましいですが、はじめは相手からボスアタックが来た瞬間に自分のスペルポイントを確認してみましょう。そこがまさに判断しなくてはならないタイミングだからです。カットインが入るので確認もしやすいでしょう。
そのときのスペルポイントや自陣の状況から、一番早くボスを返すためにはどうすればいいかを考えます。基本は2択です。そのままポイントを繋げるか、一度ポイントを切って10万点を目指すか。50万点を超えている場合は、ポイントを切る一択しかありません。

 

ここではスペルポイントを切るためのテクニックを3つ紹介します。どれもよく使う有用な技術です。

・チャージ状態を引っ張ってC2でスペルポイントを切る。
チャージゲージが2~3本の間であれば、ショットボタンを押しっぱなしにしておくことで、ボタンを離せばいつでもC2を撃てる状態でいられます。この状態でスペルポイントが切れるまで待って、切れ次第C2を撃つという方法です。

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チャージ完了、ボタンを離せばいつでもC2を撃てる状態に

有用なテクニックですが、一方でデメリットもあります。
(1)ショットを撃てない(=ゲージを増やせない)時間を、C2の解放を引っ張っている分だけ余計に作ってしまう。
(2)自機が画面下に追い込まれがち。
たとえスペルポイントは切れても、C2解放による連爆がうまくいかなかった場合次のゲージが溜まらず、ジリ貧になる可能性があります。C2はできるだけ高い位置で解放したいところです。
(3)「食らいC2」*6のリスクが増大する。
点が切れるまで解放を引っ張る以上、迫ってくる弾幕すれすれでボタンを離すことになります。
しかしこれはリスクリターンの問題です。ゲージとライフを失うかもしれないが、点切りの可能性を持てる。これについては、経験を積むことで判断がよくなります。自機のチャージ速度や相手キャラクターの放つ弾幕のスピードを、遊びながら覚えていくといいでしょう。

 

・ノーショットチャージ
C2を引っ張って点数を切りたいわけですが、C2を溜めるためには必ず一度はショットボタンを押さなくてはいけません。しかし放たれたショットが妖精を倒してしまうとそこで連爆が発生して、スペルポイントが継続してしまいます。
これを回避するのが「ノーショットチャージ」、ショットを放たずににC2を溜めるテクニックです。やり方は、C2やC3、ボスアタックが送られるときに発生するカットイン中にショットボタンを押しておくだけです。

 

・無害なショットによるチャージ
ノーショットチャージがショットを撃たないことで先の問題を解決するのに対して、こちらはショットを撃ってもなにも倒さなければよいという発想による解決です。
ショットがなにかを破壊しなければ、スペルゲージは上昇しません。例えば自機の直上に妖精がいないときにショットを押下すれば、ショットが何にも当たらないためにポイントを切ることができます。
また、相手のボスやリリー、活性化していない幽霊にショットを当てます。これらは体力が高く、ショット一発では倒せないのでポイントが切れます。


この組み合わせの戦い方

耐えてください。ここでは注意する弾幕を挙げておきます。

 

・下からくる青い楔弾(EXアタック)と、C3の赤い楔弾は危ない。
下から来る弾は対処しようとすると上が見えなくなって危険です。またC3はランクが上がると間隔が狭くなり、ほかの弾幕と複合したときに厄介です。
幸いどちらの弾幕も予告が出てから飛んでくるので、自機に迫ってくるワンテンポ前にこれらを察知してチャージを始めるとよいでしょう。

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楔弾が下から向かってくる、チャージの準備を


もう一歩先へ

このパートはさいしょは読み飛ばしてください。伸び悩んだら読むくらいでちょうどいい内容です。

 

・視点はいつも画面の中~上部に置く。

画面中部にある弾幕が、次の瞬間に自分に襲ってきます。この高さに視点をおき、弾消しの素材や活性化する幽霊を探す意識を常に持ちましょう。上が見えているほど弾幕の濃淡や妖精列の位置から、次の動きを安全に行うことができます。

・ラインを高く持つ
自機の位置する高さ(ライン)が低い状態は危険です。理由は三つ。
(1)画面の中~上部が見れなくなるから。
一般的に、自機の位置が低いときは弾幕の圧におされているときです。これは自機の周りに視点があり、いま被弾しないように対処しなくてはならない状態です。
こうならないために、つまり次の状況を考えるために画面中~上部を見たい、そのためにラインを高く維持したいのです。自機近くのほうが情報を視界に入れやすいわけで、画面下に張り付いているときよりも、高い位置に自機があるほうが上を見やすいはずです。

(2)C2が画面の中~上部に届きづらくなり、次の瞬間にくる弾幕が消せず、避けられない弾幕が降ってくることがあるから。
いわゆる「弾幕にまみれる」状態です。
C2の弾消しリングで連爆が起動すればいいですが、しなかった場合悲惨なことになります。C2リングが高い位置まで届いていればなにかしらに発火しやすく(妖精の大半は上から出現するし、幽霊も上から降ってくる)、連爆が起動しやすくなります。

(3)避ける時間と空間がないから。
自機が高い位置にあれば、後ろにスペースがあるので、弾幕に対して下がりながら対処できます。下がっているあいだにチャージの時間を稼ぐことができるし、避けるための選択肢(逃げ道)を増やすことができます。自機が高く位置取ることで、避けるための時間と空間を買うことができるのです。

 

「ラインはリソース」です。ラインを上げられる限り、できるだけ上がっているほうがいい。
ただし妖精が現れるルートは確認しておきましょう。上に行きすぎると横から出現する妖精にタックルを食らいかねません。下の画像では壁の模様を目印にどのくらいの高さまでは安全に位置取れるかを示していますが、対戦中にいちいち確認するひまはありません。体で覚えておきましょう。

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妖精列の出現パターンと安全な自機位置のライン

 

おわりに

・最終的には5分持てるように。
難易度Lunaticの場合、内部ランクが最大になるのは1R目で3分30秒です。ここから先は弾幕の厳しさ自体は変わりません。この状態で安定して立ち回ることができるなら基礎はもう十分です。実際、5分持てる実力があれば10分でも15分でも耐久できると思います。

ここに到達するために少しずつ目標を上げていきましょう。1分、1分半、2分、2分半、……という風に。

 

・ネット対戦をしよう。
CPUと人間とではかなりプレイ感に違いがでます。チャージショットの撃ち方、白弾の飛んでくる様子、スペルポイントの動き方など。
CPUとの練習と並行して、できるだけ人間と対戦するとよいと思います。ネット対戦の仕方についてはこちらに簡潔にまとめられているので参考に。

 

東方花映塚ネット対戦用のDiscordサーバーがあります。
しかし2019年現在、対戦相手を探すのはなかなか大変です*7。対戦募集の場として、各種SNSや配信、対戦掲示板がありましたがいまではほとんど機能していません。

東方花映塚ネット対戦サーバー」はそうした中では比較的新しい場で、2017年に立ち上がりました。誰でも参加できるパブリックサーバーで、対戦募集や大会の運営、情報交換の場になっています。対人戦に興味を持たれた方は、こちらも利用してみてください。

*1:弾幕研究室(2008)『アル花ディア』。これ以降も、具体的な数値付きのデータはこの本からの引用。システムについては、pp.4-8。ミスティアについては、p.67。

*2:吸霊ボタンを押しっぱなしにしている時間と、妖精列の出現抑制の関係について。妖精列には定期的に出現するタイミングがあり、そのときに吸霊ボタンが押されていたらその列は出ないで袖幕で待機する。ボタンが離されるとスタックしていた列が出現するが、このとき1列以上はスタックしない。この1列が出現すると、2列目以降がまた定期的に出現する。こういう仕様なので押しっぱなしはよくないが、細かく押したり離したりする分には問題ない。

*3:データが見つからなかったので自分で検証した。自機は吸霊ボタンを押さない状態にしておき、各妖精列について、その先頭のドットが対戦開始から何F後に出現したかを20列分記録した。そしてこれらの差から、前の妖精列が出てから次が出るまでに何F掛かるかを調べた。結果、平均すると約100F。しかし短いときで77F、長いときで156Fとかなりばらつきがあった。
ただしこの数字は参考程度に見ること。妖精列の先頭にくる妖精は3種類あり、それぞれドットの大きさが違うから。また自陣四方のどこから現れるかで、微妙にフレーム数も変わるから。

*4:ミスティアの場合、ショットボタンを一回押すとショットが6発出る。一発あたりのダメージは10、そのすべてを当てた場合ショット一回分の撃ち込みダメージは60になる。

*5:C1を使うためにボタンを離した瞬間から8フレームのあいだ無敵が発生することを利用した回避テクニック。ワイヤー状の弾幕を抜けるのに役立つ。

*6:他の東方作品で言うところの食らいボム、しかし本作だと悪いこと。
被弾してから移動可能になるまで(=61F以内)にC2かC3を撃ってしまうと、被弾によるゲージの増加がキャンセルされてしまう。特にラストライフになる被弾で食らいC2をしてしまうと、本来フルチャージになるところが1本ももらえなくなる。

*7:花映塚をはじめるプレイヤーがぶつかる三つの困難は、ルールを理解するのが難しい・どうやって勝てばいいか分からない・対戦相手がいない、です。