東方花映塚オンライン大会のレギュレーションを考える(1)これまでの大会を振り返る
これまでもオンラインの花映塚大会はしばしば行われてきました。シリーズものとしては2008年頃の「アル花ディア杯」*1、2010年頃にstickamを中心に開催された「同キャラトーナメント」*2が大きいでしょうか。またはっきりと記録は残っていなくとも、配信者を中心に、配信によって進行する大会はいくつもあったでしょう。
そのなかで大会を開催する側のノウハウにも蓄積があります。
ところでレギュレーションを考えるとき、こと花映塚にはややこしい点が多いようです。
例えばこのゲームには試合時間に天井がないので、やろうと思えばいくらでも試合を引き伸ばすことができます。いくらかのキャラクターについては特に試合時間が伸びがちです。どこか一つの組み合わせが全体の進行をあまりに滞らせてしまう可能性をどのように考えましょう。
またadonisで接続している場合、対戦中もポーズをかけることができます。誤ってポーズをかけてしまった場合どうすればいいでしょうか。「せーの」の掛け声でポーズを解除することは不可能です。ポーズをかけた側にペナルティを課すことが考えられますが、それはどの程度が妥当でしょうか。
同期ずれもオンライン特有の問題です。同期ずれが生じたかもしれないときにadonisはアラートを鳴らしてくれます。しかしアラートが鳴ったからといって必ず同期ずれが生じているとは限りません。明らかに相手の動きがおかしいならともかく、ぱっと見で正常か分からないことがしばしばです。このときどのように対応したらよいでしょう。
環境の都合上、サーバー側ができないクライアント専門のプレイヤーがいます。クラ専同士がトーナメントでぶつかってしまった場合どうすればいいでしょうか。
……こういうことを考えていると辛くなってきます。
問題対応の方針としては大きく分けて二つあります。
一つは「なあなあ」に頼ること。誰も無用なトラブルは望んでいません。参加者も主催も既知の間柄であればうまくいくでしょう。これで済むならそれに越したことはない、私ははっきりとそう思います。
もう一つはルールで明確に規定してしまうこと。想定される事態についてはできるだけ規定しておき、ほんとうにどうしようもないトラブルに対してはその場の主催者権限で裁定する、という形です。初見の人間どうしがトーナメントを戦うのであれば、慣習的にどうなっているかをその場で持ち出されるよりも、はっきりと明文化されたルールを提示する方が納得しやすいのではないでしょうか。
ここで、これまで実際に開催されたオンライン大会のレギュレーションを少し見てみましょう。上に挙げたポイントに注目します。
2007年頃?に東方弾幕実況スレで行われた大規模な大会です。
主催がお祭り的にやろうと明言しているように、キャラクターはランダム。
トラブルについては次の通り。
アクシデントについて
- 「完全に止まったorズレた」 再試合
- 「終始極度に重かった」 再試合
- 「部分的に重かった」 有効試合or会場主がスレの流れを見て決める
これら以外は、状況に応じて対応します。
この大会はすべての対戦を配信で行うので、主催やスレ民が目で見て判断できるのが特徴的です。多くの大会は同時進行であり、配信をするとしてもそのうちの一試合であることが多いので。トラブルに対して参加者・視聴者が納得しやすい形式だと思います。
クラ専については、
- クラ専同士はクラの二人がそれぞれが会場主など特定の同一人物と闘い、優秀な成績を残したほうが勝ちとします。この際、特定の人物は任意でキャラを選び固定してください(ランダムも可)。同じ結果の場合、残ったライフ、削ったライフの多いほうを勝ちとします。
というアクロバティックな裁定を行います。勝敗は付きますがどうしても時間が掛かりますし、対戦相手が同一相手であるとはいえ公平感に欠けるかもしれません。もちろん参加者がこれに納得しているなら問題ありません、実際に32人集まっているわけですし。
こちらは比較的最近、2018年4月21日の開催。
キャラクターは基本的に自由だが、
大会の進行に影響が出やすいため、下記の対戦は行いません。
どちらも鈴仙を選んだ場合は、上記以外になるまで両者ランダムで選択して対戦をしてください。
と規定しています。長引きやすい組み合わせを予めbanする方策です。これも一つの手でしばしば行われてきました。しかしチルノや鈴仙に愛着を持つプレイヤーからすると反感があるかもしれません。
クラ専について、
クラ専同士でもHamachiが使える場合はそれで対戦を行っても構いません。
出来ない場合は直前の対戦結果で良い方を勝ちにします。
それが同じ場合は、その一つ前の試合・・・と遡って決めます。
全て同じだった場合はトーナメント番号の小さい方の勝ちにします。
クラ専同士などの不戦勝は「0-2勝ち」扱いにします。
hamachiというVPNを構築するツールを導入すれば、クラ専同士でも対戦が可能です。また直前の対戦結果を参照するというのは時間が掛からないのが大きなメリットです。
このように大会の主催者は苦心しながら様々にレギュレーションを構築してきました。
大会を主催するというのはそれだけでたいへんなことです。また参加する側も、数時間パソコンの前に縛られ、大会の進行をフォローしなくてはならないわけでそれもまたたいへんです。しんどいことはだれもしたくありません。
そうであればこれまでの蓄積をもとに、上に挙げたようなトラブルに対応できるレギュレーションのひな型を用意できないでしょうか。主催者によって一部カスタマイズでき、何かあった場合には迷わず対応できるルールの集まり、そういうものをこれから考えてみようと思います。