私と花映塚コミュニティ(後編)

この記事は、私と花映塚コミュニティ(前編)の続きです。

dehana.hatenablog.com

 

目次

 

再開期(2015年初め~2016年10月)

  • やり残し感

    • ふと、花映塚がうまくなりたいと思った。これだけ歴が長いのに、自分は全然上手くない。今一度このゲームに取り組みなおそうと思い再開した。
      • 「今一度取り組みなおす」といいつつ、それまでは大して強くなろうとも思っていなかった(と思う)。そういうことは口にしていたかもしれないが。以前の自分は、身内で繋がって同じゲームで遊べればそれで十分だった。
    • このときは結構まじめにゲームに取り組んだ。
      • LunaCPUを相手にしたマッチモードでの一人プレイ、トッププレイヤーのリプレイを観て分析、プレイするたびにノートに気づきを書くということをやった。
      • このときに言語化したものが『DEHANA』の攻略文章になった。

 

  • 当時のニコ生コミュニティ

    • 自分と同時期にニコ生で遊んでいた人たちの大半は花映塚をやめるか、ネットから消えていた。
      • ニコ生で遊んでいる人たちはいたが、顔ぶれはガラッと変わっていた。
        • この時期ニコ生でよく花映塚配信をしていたカイワレさんから、当時遊んでいたプレイヤーの名前を伺った(これは最近のこと)。30名弱のハンドルネームを教えてもらったが、私の知っている人はほとんどいなかった。世代交代が起きていた。
    • 配信の身内感が強く、入っていくことに抵抗があった。
      • よく分からない定型コメント、特定の誰かに対する強いいじりなど。イニシエーションが必要なのだと感じた。
      • 同時に、自分たちが初期にやっていたのはこれだったのかと気づいた。もしかしたら、ただゲームを遊びたい人にそれ以上のことを要求して、排除してきたのではないかと考えて恐ろしくなった。
      • コミュニティを広げるということは、単に身内を増やすことではなく、「他者」を取り込んでいくことも含まれているはずだ、とも思った。
        • しかし他者は恐ろしいので、身内で凝集しようとする。同じノリが通じるひとだけが入れる同質的な空間を、当時の私たちは維持しようとしていた。
          • こと花映塚というゲームは、マッチングのためにいちいちチャットでコミュニケーションをとる必要がある(勝手にマッチングしてくれる近頃のゲームと比較して)。そのコミュニケーションにまつわるコストを下げるために、身内を作ることはたしかに有効だった。
          • 淫夢語録もそういうノリのひとつだったのだろう。今でもそれは機能している。

 

  • ツイッターの対戦コミュニティ

    • Twitter上で対戦相手を見つけられるbotがあり、かなりの頻度でマッチできていた。

      • @Kaeibotを使っていたが凍結されている。現在はみぞるさんが作った新しいbot@th09botが使われている。

    • 自分と同じくらいのレベルのプレイヤーを相手に延々と対戦していた。

      • shimpeyさん、origamiさん、柿桜さん、azyさん、FSXさん、yetさんとよくやっていた。

      • このあたりで実力が一気に伸びたのを実感した。ちょうど良い相手と切磋琢磨できたのが本当にありがたかった。

    • 「花十」(はなじゅう)という遊び方がはじまった。

      • 霊夢魔理沙や映姫小町など、ひとつの組み合わせで10本先取の対戦をするという遊び方。

      • 当時日本最強だった(と私が思う)2人、nishi_hanaさんとobtさんがよくやっていた。

      • 後に「花十」はもとの意味が徐々に薄れ、単に長時間の連戦のことを指すようになっていった。

 

DEHANA期(2016年10月~)

  • ブログ「DEHANA」の立ち上げ

    • 主なモチベーションは、当時の対戦相手が何を考えているのかを知ることだった。

      • 正直なところ、花勢がゲームについて話していることがよく分からなかった。対戦後の挨拶でも、対戦について一言添えてくれることが多かったが、よく分からないことがあった。

      • もしかしてみんな、よく分からないでそれっぽいことを言い、お互いに分かったふりをしているんじゃないかという疑いさえあった。

    • ということで(邪)、当時よく対戦していたプレイヤー2人にインタビューをした。

      • origamiさんazyさんへのインタビュー。インタビューの方法もよく分からず、空手でやっていた。しかしひとの語りは面白かった。

    • 「DEHANA」はこのインタビューの記録を残すためのブログだったが、私の興味にしたがって、その後いろいろと話題が拡散していった。

 

  • 柿桜さん主催の花映塚オフ

    • 2014年から2019年まで、年2回定期的に行われた。例大祭合わせで3月に東京、紅楼夢合わせで10月に大阪。
    • 私は東京のほうだけ参加していた。ぽつぽつと新規の方も来てくれていたようだったが、だいたいは同窓会のようになっていた。

 

  • 花映塚ネット対戦Discordサーバーの立ち上げ

    • 2017年の中頃には、Twitterでの対戦募集も下火になりつつあった。そこで新しいツールであったDiscordに目をつけた。
      • Discordはマッチングに便利なツールだった。
        • オンライン状況が見えるので、マッチングの可能性が読みやすい。ツイートに比べて、チャットでの感想戦がしやすい。
      • 身内感の少ない、ゲームを遊ぶための「場」があればいいなと思った。
    • とはいえプレイヤーが集まらないことには機能もしないので、周りで一緒に遊んでいたプレイヤーにTwitterでDMしていった。
      • Discordは今でこそ多くのゲーマーが使っているが、当時はむしろ少数派だった。

 

  • 海外勢との交流

    • TwitterやDiscordを通じて、海外コミュニティの存在、そして所在がわかり、交流が進んでいった。
      • ブログを書いて発信し続けたことが大きかった。
      • 交流の成果の一つが、knegさんの"PoFV Tournament Archive" 
        • ここに日本のトーナメント情報を提供した。日本の情報を取りまとめる段でも、私とは面識のない古参の方々からたくさんの情報をいただいた。
      • また、同人誌『DEHANA』に掲載した「海外コミュニティレポート」に結実した。

 

  • ニコ生週一対戦配信

    • ここに来てまさかの先祖返り。2019年始めから2021年中頃まで、100回以上やった。
      • 土曜日の20時からと時間を決めて、定期的に対戦することにした。
        • そうでもしないと、なかなか対戦相手が見つからないということでもあった。
      • ここでリスナーとだらだらしゃべりながら、オフ会や同人誌の企画を作っていった。
    • 『DEHANA  ZERO』という初心者向けの小冊子を作ってBOOTHで頒布した。

 

  • 同人誌『DEHANA』発行

    • 2020年末に制作がはじまり、2021年5月にリリースした。
      • 本来はC99で頒布予定だったが、コロナの影響でC99が延期となり、BOOTHでの委託販売になった。
    • 制作のモチベーションについて。既に、完成された攻略本『アル花ディア』(2007)があった。データについてはもう十分に書き尽くされていた。
      • しかし『アル花』の発行以後、自分たちも花映塚をやりこんできたし、そこでの発見もあった。遊び方を作ったり、海外との交流も始まった。そうしたものを含めて、総合的な花映塚の攻略本を作りたいと思った。
      • それとは別に、全く個人的な理由だが、いつかコミュニティへの恩返しをしたいと思っていた。初期に、年上の先輩たちからいろいろと良くしてもらっていたから。
    • たくさんの方から協力をいただけて、ありがたく思っている。様々なコミュニティ、世代のプレイヤーで集まって一つの作品を作れたことが嬉しかった。
      • とりわけping値さんにはとても感謝している。
        • 制作の最初期に、『DEHANA ZERO』を(お願いしたわけでないのに)読んでいただき(そのために購入までしてくれた)、文章やデータの不備を指摘してくれた。
        • また『DEHANA』第一章の私の文章の校閲・校正をしていただいた。
        • 返ってきたコメントを見て、自分の文章の甘さを痛感した。気を引き締めなければと思った。これが全体のクオリティアップに繋がった(と信じている)。

 

  • 2022年はじめ、いま現在

    • 現在私は花映塚を滅多にプレイしていない。おそらく今年に入ってから、一度もパットを握っていない。
    • オフ会や大会を開こうというモチベーションもない。
    • 2015年に花映塚を再開してから、徐々にゲーム全般に対する関心の方向が変わってきた。現在はゲームが上手くなることにはそれほど関心がない。
    • とはいえ花映塚が好きであることは変わりない。今でも私の人生のベストゲームだ。自分なりの付き合い方をしていきたいと思っている。

 

(おわり)

私と花映塚コミュニティ(前編)

私はこれまで13年ほど花映塚を遊んできました。その中で自分が見てきたこと、聞いてきたことを、時系列に沿って書き残しておこうと思います。

 

この記事は、過去の花映塚コミュニティについて記録を残すことを目的としています。過去に遊んでいた人たちはどんどんいなくなっていく。当時書かれたブログも、サービス終了などで見れなくなりつつあります。なんなら自分自身でも当時のことを忘れかけていることに気づきます。

 

花映塚は私の青春とともにありました。記録も記憶もなくなって、当時のことがぼんやりとしていくのは悲しい。ぼんやりとしたところを、変に美化したくもなければ、真っ黒にしたくもない。この気持ちは共有できるでしょうか?

 

自分がゲームを始めた2009年を起点に、全体を4つの期間に区切って書いていきます。これはこの記事のための便宜的な区別です(し、でしかありません)。

① 初期(2009中頃~)

② 中断期(2011年末~)

③ 再開期(2015年初め~)

④ DEHANA期(2016年10月~)

 

先にふたつだけ注意を。

その1。記事では、あくまで自分が見聞きしてきたことを書きました。私の知っていることが事実とは異なるかもしれない。私の記憶違いもあるかもしれない。ただ、過去を偽って書くような不実のないよう努めました。間違いがあれば、どこでもいいので私に届くようにコメントしてほしいです。

 

その2。コミュニティはいつでもひとつではありません。同時期にこのゲームを遊んでいながら、私とは接点がない人もたくさんいたはずです。私が描くコミュニティが当時のすべてだったと思わないこと。

 

この文章自体はいわゆる自分語りですが、ここにもう少し大きい別の意味を認めたいとも思っています。それについては、追ってまた書いていくつもりです。

 

では見ていきましょう。

 

目次

 

 

初期(2009中頃~2011年中頃)

  • 「表」のニコ生

    • ニコニコで花映塚ネット対戦をするひとは、誰しも配信をしていた。
      • 特別な野心があるわけでもなく、ただ対戦相手を見つけるためにみんなが配信していた。
      • 配信は、当時の新しい遊びの一つだった。WME(Windows Media Encorder)など特別なツールを必要とせず、ネットワークに関する知識も要らず、手軽にできることが大きかった。
        • 1枠30分で区切られているので気楽にできるというのもあった。同時にそこがバカにされていたのだが(30分ごとに枠を取らないといけないなんて不便すぎる、と)。
        • 花を遊びたい人はいくらでもいたので、最初からある程度の視聴者を期待できた。

 

    • ニコ生花映塚対戦総合」コミュニティには、花粉症さんによって当時のプレイヤーがリストアップされていった。
      • このリストは申請制だったので、実際にはもっとプレイヤーがいた。
      • 妖夢使いのKASSさんがカリスマ的な人気を誇っていた。実力もニコ生随一だった。
        • 自分が初めてネット対戦した相手もKASSさんだった。凸する前にかなり勇気を振り絞ったし、対戦中は心臓がバクバクだったし、終わってからもしばらく放心していた。
        • こういうゲームを、家にいながら知らない人と対戦できることに衝撃を受けた。すぐにやみつきになった。

 

    • ニコ生特有の文化があった。
      • ニコ生はニコ動の延長にあり、ニコニコ文化にどっぷり浸かっているひとが多かった。
        • IOSYSの東方アレンジを聞いたり、遊戯王のMADを見たり、テニミュの空耳動画で盛り上がったり。「真夏の夜の淫夢」もこの頃ニコ動でも流行りだした。*1
      • 年齢層としては高校〜大学生が多かったようだ。
        • 自分は当時のコミュニティでは最年少だった。それもあってお兄さん、お姉さん方になにかと良くしてもらっていた。ご飯に連れて行ってもらったり、引っ越しを手伝ってもらったり。
      • 人気の配信では凸戦争が起こった。
        • どの配信でも1人あたり1戦で回していたが、そもそも30分という枠の中では、対戦できる回数はたかがしれている。
        • 前の人の対戦が終わってから、adonisで対戦申し込み(凸)をするタイミングが重要だった。
          • だいたいいつでも数人が凸をしようとしており、ほとんど抽選のような状態だった。……はずなのに、妙に凸が通る人がいた。
          • 配信者が対戦受付をしたタイミングで、うまいこと自分が凸しなければならない。当時の配信にはまずまずのラグがあったし、配信者によって受付を開始するタイミングも異なる。それらを考慮して、ここだと思うタイミングで凸する。
          • あげくのはてには「凸連打ツール」なるものが開発され、公開された。……が、みんな使ったのでたぶんあまり意味がなかった。
        • 凸できなかった人や、一度配信者と対戦した人がコメント欄で募集することがしばしばあった(枠内募集)。
      • 朝枠という習慣があった。
        • 登校、出勤前の6時~7時台に配信がはじまったりする。この時間はそんなに人がいないので、比較的ラクに対戦できた。寝起きで集中力が高く、いい試合ができることが多かった。
      • お金を払って予約枠を取った。
        • 当時のニコ生は配信枠を予約するのにお金が掛かっていた(バカにされポイントその2)。その代わり、予約枠は追加料金なしで6時間まで配信を延長できた。
        • 土日に大会を開くときは、主催者がこの予約枠をよく使っていた。

 

    • IRC勢とニコ生勢で、コミュニティが大きく二分していた。
      • 花映塚の発売当初からやり込んでいたプレイヤーはだいたいIRCにいた。それに対してニコ生勢は新参が多かった。お互いのあいだにあまり交流はないようだった。
      • 私もIRCには常駐していなかった(まれに入ってはいた)。その代わり「東方弾幕実況」(なんでも実況板)や、「花映塚ネット対戦スレ」(したらば掲示板)に足を伸ばしていた。
        • したらばの対戦スレはハイレベルのプレイヤーばかりそろっているという噂だった。恐る恐る凸をしていた記憶がある。

 

  • 「裏」のStickam

    • プレイヤーがたむろする場所として、配信サイトのStickamがほとんど毎日使われていた。
      • ニコ生と違って、こちらは1枠の時間に制限がない。だらだらとチャットをしたり、延々と対戦したりしていた。
        • とはいえ、ニコ生のプレイヤーが全員Stickamにいたわけでもない。一部のプレイヤーが身内的に集まっていた。
      • 誰かがニコ生で1枠立てて、Stickamでは身内が集まっている状態が基本だった。
        • そのときからニコ生のことを「表」、Stickamのことを「裏」と呼び分けていた。
        • 常にニコ生に1枠はあるようにはしていた。なぜかは分からないが。
    • 私のTwitterはこのコミュニティと繋がるために作った。2009年の12月に開設したが、周りでいっしょに遊んでいた人たちもこのあたりで一斉にアカウントを作っていた。

 

  • 毎週末のオンライン大会

    • ほとんど毎週末、誰かしらが大会を主催して、みんなで参加していた。
    • 同キャラオンリー大会シリーズもやった。確かチルノを除く、15キャラ分開催した。
    • 同人誌『DEHANA』で紹介した「お花見タクティクス」などの特殊ルールもこのとき発明された。
    • 変わり種として「偽名大会」があった。
      • 当時から、adonisのnameをコロコロと変えて凸する文化があった。「偽名勢」というばかばかしい言葉もあった。
      • そういうわけで仮面舞踏会のように、誰が誰だか分からない状態で大会をした。IPでばれないようにルータを再起動して臨んだ。他のプレイヤーの癖のある動きをマネして相手を騙そうとするなど、かなり盛り上がった。
      • 50名が参加して、優勝したのは「ヒメコンゴウインコ」さん。誰だよ。

 

  • 剛魂(ごうたま)

    • 秋葉原で行われていた花映塚のオフ対戦会。だいたい月一で、土曜日の夕方に開催されていた。
    • 「東方波天宮 サーパラショップ秋葉原店」の一角を借りていた。店舗の奥の方、数畳のスペースにPC一台で対戦を回していた。今はもうこの店舗はない。
    • 関東圏のニコ生勢が集まる場になっていた。中部からバスで来る花勢もいたと聞いた。
    • この会は、ikuoさんが運営してくれていた。当時はたくさん迷惑を掛けてしまった。けれどもこういう場を作ってくれて、ほんとうにありがたかった。このときの楽しい時間は、今でも強く記憶に残っている。
    • 「剛魂」を「ゴウコン」と読んで、「今日はゴウコンがある」と呟くとリア充っぽく聞こえる、というネタがあった。



中断期(2011年末~2015年初め)

  • 2011年10月の「紅楼夢合わせオフ」前後を境に、身内の熱が徐々に引いていった。
    • 私はというと、身内でいざこざを起こしたりヘラったりして、コミュニティから少しずつ離れていった。
    • ニコ生との関わりもなくなっていった。剛魂で出会った人たちとの繋がりはかろうじて残っていたが、もうほとんど花映塚を遊んでいなかった。
      • 公園でブーメラン遊びをしたり、バケツプリンを作ったり、徒歩で山手線一周したりした。なんだかYoutuberみたいだ。

 

(つづく)

*1:淫夢」の歴史については、竹本竜都「野獣先輩は淫らな夢を見るか?ー<真夏の夜の淫夢>概説」(限界研『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』pp.331-335)に詳しい。私たちは淫夢が流行しはじめる、ちょうどそのときにニコ動で遊んでいた。

C99新刊/DEHANA+

C99で新刊『DEHANA+(デ・ハナ プラス)』を頒布します。

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表紙イラスト・デザインは柿桜さん(@77ameka)

 

12ページのコピー本で、立ち位置としては今年5月に頒布した『DEHANA』を補うような内容になっています。コンパクトなB5サイズで、A4サイズの『DEHANA』に挟んで保管できます。

 

『DEHANA』は大部の同人誌で、使いこなすのが難しいのではないかと作り手ながら気がかりでした。読み手のニーズは様々ですが、それに合わせてどこを読めばいいかは示しておきたい、そういう狙いで書いたのが、特集記事花映塚困りごと索引」です。困りごとというか悩みごとというか、こういうことが知りたいなぁという目的から必要な情報にアクセスできるようになっています。『DEHANA』をお持ちの方は、必ずやシナジーを発揮してくれるでしょう。

 

また寄稿記事として花映塚奥義全集」「Latency9花映塚攻略」の2本を掲載しています。執筆はてんこさん(@tenko_modoki)。内容はタイトル通り……。どちらも、読んですぐに新しい動きや遊びを実践できるようなものになっています。

 

『DEHANA+』はライト層からコアプレイヤーまで楽しめる一冊です。コピ本だからといって侮るなかれ、花映塚をもっと楽しみ尽くす本として、自信をもってお送りします。

 

サークルDEHANAは2日目(金)東ス-42bです。もちろん既刊『DEHANA』も持っていくので、買いそびれていたという方もこの機会にぜひ。久しぶりのコミケ、全力で楽しんでいくぞ!

webcatalog-free.circle.ms


Discordに花映塚のネット対戦サーバーがあります

discord.gg

 

花映塚ネット対戦サーバー」は2017年に設立されたもので、現在89名が参加しています。ネット対戦の相手を探すのがメインですが、雑談のチャンネルもあります。過去にはここでオンライン大会が開かれたこともありました。現在どれだけアクティブかはともかく、花映塚に興味を持つ人たちが大勢集まっている稀有な場所です。

 

こんな人におすすめ

  • 花映塚の対戦相手を見つけたい
  • ネット対戦のテストがしたい
  • 花映塚について話したい

 

参加したからといってあいさつしなきゃいけないとか、そういうのはありません。また特に身内が集まっているわけでもなく、歴の長い方も最近はじめた方も、あまり関係なくやっているようです。

 

私もたまに募集しているので、よかったら参加して対戦してください。

AIのべりすと短編「ハナの花映塚全一日記」

# この短編は、小説生成AI「AIのべりすと」を使って書かれました。

# 最初の6行を人力で書き、残りはAIに出力してもらっています。

# 展開を作るために、出力結果の一部を直したりしながら生成させています。

# 全体として人力3割、AI7割くらいになっています。

 

ai-novel.com

 

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ハナが花映塚に出会ったのは偶然のことだった。
同人ショップをぶらついていたときに見つけた、落ち着いたカラフルなジャケット。
「東方……花映塚?」
彼女は無類のゲーム好きだったが、こんなゲームは見たことがなかった。
華美な弾幕と対戦型シューティングの奇妙な取り合わせに、彼女は惹かれていた。

 

週末、ハナは親友のリカを誘って花映塚を遊んでみた。
「……なるほどね」
ハナは納得したようにつぶやいた。
確かにこれは面白い。操作も簡単で、弾を避けながら相手の弾を打ち返すだけというシンプルなルール。
「なかなかよくできてるわ」
リカもこのゲームに特別なものを感じたらしい。2人は週末ごとにこのゲームを遊び続けた。
こんなに本気になれるゲームは他になかった。
「ねえ、せっかくなら大会とか……出てみない?」
リカはおずおずと提案する。
「いいわね!出ましょう!」

 

大会当日。会場には100名を超えるプレイヤーが集まっていた。
「おお……」
2人にとって、これほどの規模のイベントは初めてだった。
「楽しみだわ!」
「うん……!」
二人の胸は高鳴っていた。
大会の形式はトーナメント戦。勝ち進めば優勝できるというシンプルなものだった。

 

二人は順調に勝ち進んだ。
「……決勝かあ」「どうしよう」
二人は悩んでいた。
勝戦ともなれば、お互いの手の内は知れている。今までのような戦い方では通用しないだろう。
「……でもやるしかないよね」
「そうよ。ここまで来たんだから」
結局、二人とも決勝まで残ったのだ。もう戦うしか道はない。
ハナとリカは決勝戦の席につく。ぴりぴりとした空気が彼女たちを包んでいる。

 

「はじめ!」
実況の声とともに試合が始まった。
1ラウンド目はお互いに動きがぎこちない。30秒もしないうちに、ハナはリカのC2に被弾してしまう。ライフは残り3.0。
「くっ……」
だがハナの闘志は消えていない。彼女は攻勢に出る。チャージゲージを限界まで消費して、大量のC2をリカに送り込む。
「そこっ!!」
彼女の渾身の一撃がクリーンヒットした。
1ラウンド目はハナが取った。

 

リカは大きく深呼吸した。このラウンドを落としたら負けだ。
「……あきらめないっ」
次の瞬間、リカは一気に勝負に出た。
「開幕クイックC4!?」
突飛なリカの攻撃に、ハナは何が起きたのか分からなかった。しかし、それが最善手であることはすぐに分かった。
「うあっ!」
一瞬にしてラストライフに追い込まれる。でも、まだ負けたわけじゃない。ハナは最大限の集中力でC3を放ち続ける。そう、C2ではなくC3。リカを倒すにはこれしかない。
「くそっ!」
リカの焦った声が聞こえる。あと少し……。もう少しだけ耐えれば勝てる。
「えっ……?」
その時、リカの画面いっぱいに色とりどりの花びらが広がった。
「なに、これ……?」
こんな弾幕はゲームに実装されていないはず。それは幻想的な光景で、リカはすっかり見惚れてしまっていた。一発の弾が自機に直撃しようとしていることも、どうでもいいことのように思えた。
「ハナ……、あなたってやっぱ……強い」
その言葉を最後に、彼女は力尽きた。

 

「勝者、ハナ!」
歓声が上がる。
「やったー!!!」
ハナは思わず飛び上がってしまう。
リカはただそんな彼女をぼんやりと見つめることしかできなかった。

 

こうして、2人の大会は終わった。これまでに一番楽しい時間だったかもしれない。
「また……来年も出ようね」
「もちろん!」
帰り道、二人は自然と手をつないでいた。
「……ねえ、ハナ」
「ん?なに?」
「……なんでもない」
「変なの」
「……うん」
2人は微笑みあった。

(完)

DEHANA紹介⑥「外へ!」

いきなりですがお知らせです。9月10日(金)の夜から、DEHANA電子版(PDF)の販売を開始します。書籍版と異なり全ページフルカラーです。また章や見出しごとにしおりが付いており、目的の記事を探しやすくなっています。PDFで読みたいという方はぜひぜひお求めください!

dehana.booth.pm

 

さて、これまで連載してきたDEHANAN本誌の紹介は今回でおしまいです。ラストは第三章「拡げる」について。ここでは、ふつうにストーリーモードを遊んだり対人戦をするのとは違う遊び方を紹介しています。16年間でコミュニティが発明してきた遊びの軌跡です。いわば花映塚の可能性を「拡げる」章であり、ここを読むことで自分なりの楽しみを見つけられるようになっています。

 

今回は記事ごとに見ていきましょう。

 

目次

 

花映塚のいろいろな遊び方

章の最初に配置されているとおり、様々な遊び方をざっくりと紹介しています。全体の見通しをつけるための記事で、もっと知りたいと思ったら、それぞれを詳しく解説した記事に飛べるようになっています。


ここに載っている、さまざまな記録のまとめも活用していただければうれしいです。スコアボード(Maribel Hearnさん)とタイムボード(めど)、また対人戦における最長対戦時間(p.121, yetさん)の表は、自分で遊ぶときの指標として役に立ちますし、仮想的な張り合いの相手として挑戦することもできるでしょう。

 

花映塚のバグ事情

花映塚の戦績記録ツール「花の記憶」など、花に関する各種ツールを開発しているろくしーさんによる渾身の記事です。花映塚のバグを一覧できる資料は他になく、具体的な再現方法まで掲載しているのがウリです。ろくしーさんはこの記事を書くために、日々花映塚を起動してはバグを探していました。

 

ちなみにDEHANAを入稿してから、花映塚にチートコードがあることが判明しました。「Result」ページで特定のコマンドを入れると、隠しキャラであるルナサとメルランが開放されるというものです。残念ながら本誌には反映させられなかったので、ここで紹介しておきます。

 

ほんとに花映塚は底が知れないゲームです。オフ会のたびに、早く設営しては現地でキャラ開放のためにストーリーモードをプレイしてたのは何だったんでしょうね。

 

「夢時空」から見た「花映塚

夢時空と花映塚の両方に精通している、中国のプレイヤーFSXさんの記事です。私からぜひにとお願いしてこのテーマで書いていただきました。

 

両ゲームのシステム上の差異に注目して、花映塚のルーツを探るという資料的な記事になっています。花映塚というゲームの、あの不思議な手触りがどのようにしてできたのか、それを理解する手助けになります。


また「夢時空」の手短かなガイドにもなっている点も見逃せません。夢時空はPC-98ゲームということもあり現在では遊ぶことが難しく、日本語で読める資料は多くありません。夢時空の楽しさや遊び方を伝える、貴重な内容になっています。

 

花映塚へ至る道筋という観点でいえば、実際には夢時空の前に「ティンクルスタースプライツ」があるわけで、そことの違いに注目してもおもしろいと思います。しかしそれはまた別の機会に。

 

オンラインとオフラインの対戦環境の違いとその対策

花映塚のオフイベントを長年オーガナイズしてきた柿桜さんの記事です。柿桜さんは、2018年に博麗神社社務所が主催した公式大会「東方コロシアム 花映塚編」の優勝者でもあります。なんと263名の頂点!こうした実績を持つ柿さんに、オフで全力を発揮するためのコツを伺いました。


ここで分析・解説されているのは、花映塚に限ったことではありません。ふだんと異なる環境で「本番」を迎えなければならないときにいかに安定したパフォーマンスを出せるか。柿桜さんの考え方は、他の場面でもきっと活用できるでしょう。

 

オンライン大会開催ガイド

執筆者、私。花映塚は、もーほんとうに厄介なゲームで、大会ひとつ開催するにもたくさんの困難があります。これまでのオンライン大会経験をもとに、オンラインではどういう問題が生じうるのかと、実際にどのように対応すればいいのかをまとめました。


大会とかあまり興味ないよーという方も、記事の最後にまとめた「「花映塚」というゲームが持つ特性」は知っておいて損はないと思います。こういう、プレイヤーが前提として了解していることって、なかなか言語化されてなかったりするので。

 

海外の花映塚コミュニティレポート

日本に16年の歴史があるならば、世界各地にも同じような歴史があるはず。じゃあ聞いてみよう、ということでインタビューしてきました。


詳しくはインタビューを読んでほしいのですが、世界各地で小さなコミュニティが生まれ、盛り上がり、そして解消あるいは合体していくプロセスの一端が語られています。やはり言語の壁は大きく、国というよりは同じ言語圏でまとまる傾向があるようです。


あとはネット環境がゲームの遊び方に与える影響は興味深いですね。ネットの速度が遅いと、操作遅延やラグが発生し、まともにゲームができなくなります。快適にネットで繋がれる範囲が、ひとつのコミュニティの範囲になる傾向が、もしかしたらあるのかも。そういえばゼロ年代では、日本国内でも距離が離れていると対戦が難しいということがあったようですよ。

 

用語集2021

合計192の花映塚用語を50音順で整理しました。項目には、必要に応じて参照先を付けているので、「索引」のように使うこともできます。何かを調べるのに使ってもいいし、だらっとゆるく流し見するのもよしです。私が好きなのは【や】の項目。


用語集を作るというのははじめての経験で、どうやって作ったらよいかを方法から考える必要がありました。思いつく単語をやみくもに出していくだけではきっとヌケやモレが生じることでしょう。

 

だから最初に単語のカテゴリを設定しました。大カテゴリとして「ゲーム内」と「ゲーム外」を考え、その下に小カテゴリを追加していきます。例えば「ゲーム内」の小カテゴリは「弾の名前」「エキストラアタックの名前」など、「ゲーム外」は「STG用語」「配信サイト」などです。これ以上小カテゴリが作れない、つまり「花映塚」全体をカバーしたと思ったところで、カテゴリごとに具体的な項目を書き出していきました。


ちなみに『アル花ディア』(2008)の用語集からも、いくつかの単語を収録しています。そのまま使えるものはそのままに、時間が経って内容が古くなったものは適宜書き換えています。

花映塚オフ・大会の歴史

誤解のないように改めて書きますが、ここに載っているのはこれまでに行われてきた花オフや大会の一部です。実際にはこれよりもっとたくさんオフ会が行われています。


私としてはA4の見開きでバーンとこの表を載せられて満足です。過去の記録を漁ったり関係者に伺ったりしてデータを埋めていったのですが、どうしても分からないところ・裏とりができないところが結構ありました。空欄になっているので、「俺は知ってるぞ」という方はぜひ自分でマスを埋めちゃってください。

 

 

以上、各記事の紹介でした。花映塚の拡がりを実感してもらえたでしょうか。過去から現在へ、国内から世界へ、花映塚の楽しさは今も拡がり続けています。

DEHANA紹介⑤「攻略本の華」

お久しぶりです。

なんだか間がかなり空いてしまいましたが、今回は第二章「究める」から「キャラクター攻略」「一人プレイ攻略」の二つを見ていきましょう。

 

目次 

 

キャラクター攻略はトッププレイヤーの思考の宝庫

攻略本においてやはり「キャラクター攻略」は一つの華と言えるでしょう。しかし実は、DEHANAにはすべてのキャラの解説が載っているわけではありません。しっかりとした解説を書けるプレイヤーのいるキャラに絞って原稿を依頼をしました。実際、各キャラの全一クラスのプレイヤーが、各々の持ちキャラの攻略を書いています。それだけにクオリティについては自信を持っています。

 

ちなみに依頼については、こちらからはほとんどオーダーをせず自由に書いてもらったので、人によって書き方はさまざまです。見出しの立て方も、攻略の切り口も、テンションも全く異なります。

 

しかしそこには、キャラ攻略のベースとして、彼らが花映塚をどのように理解しているかが表現されています。各キャラの攻略は、当然花映塚全体の攻略を前提としているからです。これだけの人数のトッププレイヤーの、花映塚理解を一望できる資料は他にはありません。

 

例えばこれは偶然のことですが、「C0避け」というテクニックがnishiさん(霊夢担当)とふぁーさん(幽香担当)の、両者の記事に出てきます。もちろん事前に話し合ったわけではありません。トッププレイヤーの二人が重要だと思ったから、各キャラクター攻略の枠の中にもかかわらず書いたのであり、こういうところから「C0避け」がいかに大切なテクニックであるかを私たちは理解することができます。

 

フォーマットを統一することなく自由に書かれているということは、読み手は各記事ごとに構成からいちいち理解する必要があるということであり、読むのはなかなか大変でしょう。……すみません、ご読労をおかけします。何回でも書きますが、DEHANAを通読するのは並大抵のことではありません。自分のいまの興味に沿って、好きなように、つまみ食いをするように読んでいってもらうのが一番良いものと思います。

 

 

ティアリストの意義

ところで「キャラクター攻略」ではティアリスト(強さランキング)について詳述しませんでした。「用語集」の中で「~と語られることが多い」「~と呼ぶことがある」くらいの調子で書きましたが、断定系ではありません。人によって議論のあるところでしょうし、ほどほどにしておきました。

 

ティアリストは、様々なゲームで、リリースされてすぐに議論になるテーマです。花映塚においては、そもそもティアリストにどのような意義があるのでしょうか。

 

花映塚は非対称なゲームです。16人の性能の異なるキャラから2人を選んで対戦します。つまり最初から有利・不利が発生しています。そしてそのような有利・不利の状況認識から、勝つために自分の行動を変える必要が出てきます。

 

ここで、勝利を目指す行動を決めるためにティアリスト(正確には「相性の知識」)が必要となります。例えば「この組み合わせは自分が不利だからどこかで無理を通す必要がある」とか「有利だからスペルポイントは切らずに開花状態を維持しよう」というように判断をするわけです。

 

そのうちに、そこに色々と人間的な意味付けがなされていきます。どのキャラが一番強いのか、たとえプレイをしていなくてもそういう知識を得られると私たちはどこかで満足するものではないでしょうか。さらに一歩進んで、「強いキャラを使っているから勝って当然だ」とか「相性有利で負けたら恥ずかしい」というように考えるプレイヤーも出てきます。そんなことはゲームの中にはどこにも書かれていないのに。

 

こうした「おしゃべり」がコミュニケーションや楽しみに繋がる限りではいいのですが、プレッシャーや押しつけになるようであればむしろ害でしょう。これはとても実践的な(普段から私たちが直面するような)問題で、ほどほどのところを知る必要があると思っています。コレガムズカシイ。

 

 

思い立ったらすぐ遊べる「一人プレイ」

さて「一人プレイ」の項目では、スコアアタック・LunaCPU撃破・縛りプレイ・RTA(リアルタイムアタック)を扱っています。こちらもやはり、それぞれのカテゴリの全一クラスのプレイヤーが寄稿してくれています。

 

一人プレイの良いところは、思い立ったらすぐに実行できるところでしょう。対戦であれば相手を探して、時間を合わせて、やりとりをしてとなかなか大変ですが、一人プレイはやりたいときにやりたいだけ遊ぶことができます。

 

興味を持った楽しみ方を見つけたら、軽く読んで実行してみることをおすすめします。ポイントは、ガチガチに読み込まなくてもよいということ。私などは、アドバイスを一つだけ携えてワンプレイするのが楽しいです。成果が出るし、段階的に理解も進んでいきます。

 

ちなみに、花映塚のスコアアタックは近年進展が目覚ましい分野です。2008年の花映塚攻略本『アル花ディア』では「他の東方作品と異なり運要素が強すぎるので、スコア稼ぎメインの人はあまりいない…と思う」(p.11)とされていたのですが、2010年代を通じて独特の攻略が確立されてきました。

 

ちょうど最近、「東方ワールドカップ2021」というイベントの中で花映塚のスコアタ対戦が行われました。「スコアアタック概論」を読んだら、合わせて録画を見るとより楽しめます。ちなみにWest代表で出場しているDagoth2huさんには、「スコアタ各キャラクター攻略」の「妖夢」攻略を書いていただいています。

youtu.be

 

スコアタはまた、DEHANAの製作期間にも攻略が進みました。るろるぅさんにより、花映塚でも「状況再現」というテクニックが可能であることが分かりました。CPUの挙動が解明され、「三つの弾避けモード」として明確に言語化されました(p.97のコラム)。原稿を書いている期間に、全一スコアがいくつかのカテゴリで更新されるようなこともありました。なかなかホットな分野になっています。

 

では今回はこんなところで。

dehana.booth.pm