DEHANA紹介④「花映塚の攻略って何を書くの?」

ご無沙汰しております。

 

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前回からだいぶ時間があいてしまったのですが、紹介でしたね。今回は第二章「究める」を見ていきましょう。この章は「システム解析」「戦略指南」「キャラクター紹介」「一人プレイ攻略」の4つのカテゴリからなります。今回は主に前二つのカテゴリについて。

 

目次

 

花映塚の攻略文章とは 

この本を作る前から、ゲームの攻略文章とはどういうものだろうとおぼろげに考えていました。私は花映塚以外にもいろいろとゲームを触ってきたし、長い時間遊んでいるタイトルもあります。そういうゲームについて何かを書くときに、どのような文章が「攻略」になるのだろうかと、たびたび思います。

 

「攻略」の定義を問うているように捉えられかねませんが、いま話したいのはどういう文章がプレイヤーにとって望ましいかという価値論的な問題です。自分が読者だったらどういう攻略文章がうれしいかな、というくらいの問いです。

 

例えば関連するデータを集めればそれで攻略文章になるのか。花でいえば、解析勢の努力でかなりの部分が数値まで明らかになっています。キャラクターの判定の大きさ、白弾などの「おくりもの」発生のメカニズム、リリーが降りてくるタイミング等々。しかしデータを網羅したところで、それで攻略が完了したとは、どうも言えないような気がします。それは物理法則を完全に理解している人がいたからといって、その人が野球をうまくプレイできるわけではないということと類比的です。データそのものよりも、それを使っていかに上手にプレイできるかのほうが、攻略においては重要ではないかと思います。

 

だからといって「弾に当たらないようにしよう」といった、ゲームのルールをそのまま書いてしまうようなことでもないでしょう。花映塚がうまくなるためにはどうすればいいですか?」に対して「弾幕に当たらなければいいんだよ」というのはジョークにはなっても回答にはなりません。このように書けばこそ「そんなのは当然だ」と思われるかもしれませんが、どうも攻略を書いていると、気が抜けてそのようなふわふわした話になってしまうことがあります。

 

例えば「交差弾は危険だから意識しよう」というのはどの程度攻略になっているでしょうか。まったくの無内容ではないにせよ(他の弾幕ではなく「交差弾」に注目するように言っているから)、少し不親切な気もします。DEHANAの135頁、「用語集2021」の「交差弾」という項目ではこう書いています。「交差弾はいま閉じている部分が一瞬後には開くので、閉じている部分を目指して移動すると避けやすい」。実はこの一文はそにつくさんが提案してくれたもので、そのまま採用しました。「交差弾を意識(して避ける)」ということの内実が具体的に書かれており、良い攻略文だと感じます。

 

こうした話に明確な着地点があるわけではないのですが、とりあえず「プレイしているときの自分の意識」が攻略文章の中心にあってほしい、くらいのことは言えるのではないかと思います。プレイのその限定された時間の中で、どういうことを考えればよいか、そしてどういうことは考えなくてもよいかをはっきりさせることが重要だ、と言いたい。攻略の文章では、客観的なデータとそれまでの自分の経験を総合して、プレイ中に意識することを絞ることが目標になるのだ、ということです。

 

果たして私の攻略文章がこういう目標を達成できているのかは読者の判断に委ねるほかない(常套句)のですが、……実際どうでしょう。できてるのかな。あんまりできてない気がするな……。何回も読み返しているとだんだん自分が何を書いているのかよく分からなくなってくるので、常套句とはいえ本当に実際に他人にどう読まれているか次第だなと思うところです。まあそういうことが私の目標でした。

 

 

「データ解析」と「戦略指南」

「データ解析」の記事二本は、表に現れてこない内部データを扱っています。このあたりは特に、データをいかに実践で活かすかという課題のもと編集していました。単なる数値の集積ではなく、実際のプレイのなかで、判断や操作に効いてくる知識としてデータを整理しました。ちなみに38頁にある「コンボ要素一覧表」はping値さんのアイデアで、これのおかげで一気に見通しが良くなりました(感謝!)

 

「戦略指南」も二本の記事があり、「花映塚というゲーム(のシステム)をどのように理解するか」を解説しています。戦略指南と銘打っているのに奇妙に響くかもしれませんが、必ずしも「どうしたら勝てるか」ではないのです。それ以前の部分に焦点を当てています(てんこさん、違ってたらごめんなさい!)

 

花映塚は要素が複雑に絡まりあっている、カオスで捉えどころのないゲームです。だから「なんか勝った/負けた」となりがちです。「戦略指南」の記事を読むことで、ふだんのゲームプレイから何が勝敗を決したのかを理解できるようになります。私としてはそのあたりが理解できるようになってからは、勝っても負けてもゲームプレイに納得できるようになりました。もちろん負けたら悔しいですが、よくわからんけど負けたという状態よりも、あれが原因で負けたと分かっているほうがよっぽど精神的に楽です。因果がはっきりしていてほしいんですね。とても人間的。

 

あとは観戦のポイントが分かるという効果もあります。しばしばすごいゲームプレイを前にして「素人目にもすごいと分かる」と言われますが、これは実際のところ「よく分からないけどなんかすごそうだ」という感覚のレトリックであることが多いでしょう。そういうプレイに付くコメントを見て、「そこ、驚くところじゃないんだけどなぁ」ってことありませんか?(驚いてもらえているのでそれはそれでいいんですけど) 花映塚はどこを見ればいいのか分からないという声を聞きますが、観戦のポイントが分かるとより面白く観られるようになります。

 

 

本を「縦に」読む 

ちなみに私が書いた攻略記事には縦のつながりがあります。第一章の「マニュアルリライト」で入門して、「ミスミスからはじめる花映塚」で初心者を脱し、第二章の「「防御型」という立ち回り」で中級者以上へ、とステップアップできるようになっています。戦略については隠していることはなく、自分が書けるだけのことを書いたつもりです。

 

一連の内容を同じ人間が書いているのである程度読みやすくなっていると思います。厚い本でも一人の人間が書いている本って、後半にいくにつれてブーストが掛かり読みやすくなるということがありますよね。逆に共著とかで色々な人が書いているものを読むのは結構たいへんです。まさにDEHANAがその類なんですけども。

 

私のパートに限らず、本文を串刺しで読むというのはDEHANAには合っています。例えば小町の銭弾が避けられないと思うなら、「キャラクター攻略」の記事郡から対小町の部分だけを拾い読みしてみるとか。きっと良いアドバイスが見つかるはずです。

 

今回はこんなところで。